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クリーンエネルギーとは何か?注目されている理由や日本における取り組みも解説

更新日:2021.11.12

SDGs・脱炭素

SDGs・脱炭素

SDGsやESG経営の一環としても注目されているクリーンエネルギー。

しかし、一口にクリーンエネルギーといっても太陽光や水力、風力などさまざまな種類があり、発電方法や発電効率にも違いがあります。また、クリーンエネルギーと似た言葉も存在し、それらの違いがよく分からないと感じている方も多いはず。

そこで今回は、クリーンエネルギーとは何か、どのような種類があるのかを紹介するとともに、クリーンエネルギーが注目されている理由や日本におけるクリーンエネルギーへの取り組みなどもあわせて分かりやすく解説します。

クリーンエネルギーとは

そもそもクリーンエネルギーとは何を指すのでしょうか。似た言葉として使われることも多い「自然エネルギー」や「再生可能エネルギー」との違いについても解説しましょう。

また、クリーンエネルギーにあたるものには何があるのか、代表的な種類もあわせて紹介します。

クリーンエネルギーの定義

クリーンエネルギーとは一般的に、地球環境に対して悪影響を与える物質を一切排出しない、または悪影響を及ぼさない程度の排出量に抑えたエネルギー源のことを指します。地球環境に悪影響を与える物質としては、具体的に窒素化合物や二酸化炭素などを指す場合がほとんどです。

ただし、クリーンエネルギーいう言葉は厳密に定義付けられているものではありません。そのため、風力や水力、太陽光といった自然エネルギーや再生可能エネルギーも広い意味でクリーンエネルギーに含まれるといえるでしょう。

クリーンエネルギーの種類

一口にクリーンエネルギーといっても、発電方法によってさまざまな種類が存在します。なかでも代表的なクリーンエネルギーとしては、以下の5つが挙げられます。

風力

陸上または海上における風の力を利用し、タービンを回すことでエネルギーを得る方法です。大きな羽根のついた風力発電機は、風の強い海岸沿いに建てられることも多く、立地条件や環境次第では安定的に大規模な電力を発電できます。

地熱

地中から発せられる熱を利用し、発生した蒸気でタービンを回してエネルギーを得る方法です。火山活動が活発な日本は地熱発電に適した場所ともいえ、火力発電のように燃料も不要で安定的に稼働できるメリットがあります。一方で、地熱発電に適した場所は温泉地や観光地に近接しているケースも多く、発電設備の建設にあたっては近隣住民との調整も不可欠です。

水力

水の流れる力によってタービンを回し、エネルギーを得る方法です。河川を流れる水の力を利用する方法もあれば、ダムからの放流によって発電する方法、さらには山間部の上流にある池から下池に水を落とす際に発電する方法までさまざまです。

バイオマス

動植物をはじめとした生物資源を燃焼、またはガス化することによってエネルギーを得る方法です。建築廃材や農業残渣、食品加工廃棄物、食用油、さらには下水汚泥やし尿などもバイオマスに含まれ、それぞれの特性に合わせて最適な方法で処理されます。

太陽光

太陽光パネルを設置し、太陽光からエネルギーを得る方法です。太陽光パネルには「P型シリコン半導体」と「N型シリコン半導体」が張り合わされており、太陽光が差し込んだ際にP型シリコン半導体はマイナス電極からプラス電極へ、N型シリコン半導体はプラス電極からマイナス電極へ変化する特性があります。このときに内部で電気が流れ、エネルギーが生じるという仕組みです。

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原子力や水素エネルギーはクリーンエネルギーにあたる?

窒素化合物やCO2を排出しないという点においては、原子力や水素エネルギーもクリーンエネルギーの要素を満たすのではないかと考える方も多いことでしょう。

しかし、原子力発電は東日本大震災の津波によって多くの被害をもたらし、いまだ多くの問題が山積みになっています。安全かつ安定的に原子力エネルギーが制御でき、重大な事故が発生するリスクが払拭できるよう技術が進歩したとき、クリーンエネルギーとしての運用が期待されます。

また、水素エネルギーも製造方法によってはCO2の排出量を大幅に抑えることが可能ですが、化石燃料が消費される製造方法があったり、サプライチェーンの構築に多くのエネルギーが消費されることも指摘されています。そのため、原子力と同様、水素エネルギーもテクノロジーの進歩がクリーンエネルギー化のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。

クリーンエネルギーが注目される理由

もそも、なぜクリーンエネルギーが注目されるようになったのでしょうか。日本国内における事情も含めて3つのポイントを紹介しましょう。

エネルギー自給率の低下

日本は資源に乏しく、化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っています。エネルギーの自給率を見てみると、2010年には20%を超える自給率を達成したものの、その後徐々に低下、2017年にはわずか9.6%に留まっている状況です。

海外の情勢が悪化するなどして化石燃料の価格が高騰すると、国民生活に大きな支障をきたすリスクもあり、エネルギー自給率の向上は日本にとって大きな課題ともいえるでしょう。そこで、化石燃料に頼らないクリーンエネルギーの比率を高めていくことが注目されているのです。

パリ協定の採択

2015年に採択されたパリ協定では、「産業革命以前の平均気温上昇に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことが目標として掲げられました。これは日本だけでなく世界共通の目標であり、達成するためにはCO2排出量の削減が不可欠です。

りわけCO2排出量が多い火力発電の比率を抑えるためにも、代替エネルギーの確保としてCO2を排出しないクリーンエネルギーが注目されています。

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クリーンエネルギーに対応した技術の進化

原子力や水素エネルギーの部分でも紹介した通り、クリーンエネルギーはテクノロジーの進化と密接な関係があります。たとえば、クリーンエネルギーの代表格ともいえる太陽光パネルは、1980年代までは変換効率が10%にも満たなかったものが、現在では25%以上にまで高まっています。

テクノロジーの進化によって発電効率が向上すると高い導入効果も期待でき、普及率も向上します。その結果、太陽光パネルを生産するメーカー側としても量産体制を確保でき、手頃な価格で導入できるようになるのです。

太陽光発電に限らず、クリーンエネルギーに関連する技術革新は増加しており、従来型のエネルギーから次世代型のエネルギーへの転換が期待されています。

日本におけるクリーンエネルギーの代表格な取り組み

クリーンエネルギーの普及に向けて、実際に日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。代表的な3つの例をもとに紹介します。

固定価格買取制度(FIT制度)

固定価格買取制度とは、風力や水力、太陽光といった再生可能エネルギーを、電力会社が一定の価格で買い取る制度です。電力会社は電気料金から賦課金として徴収したコストを、再生可能エネルギーの買取費用に充当しています。

本来、再生可能エネルギーの発電設備を建設するには莫大なコストがかかりますが、固定価格買取制度によって安定的な価格設定を実現することにより、発電事業者はコスト回収の見込みが立てやすく、結果として再生可能エネルギーの普及拡大に貢献できる仕組みです。実際FIT制度が始まってから日本の太陽光発電は大幅に増えていきました。

自家消費型の太陽光

近年、世界中の企業のCO2削減の考えが進んでいるのに伴い、工場やオフィスビルの屋根に太陽光パネルを設置して、自分等で使う電力を自家発電していく『自家消費型』の考えが浸透してきています。

実際世界的な大企業のAppleやAmazon、Google、Facebookなどでは自分等のオフィスだけでなく下請け会社や工場などにも、電力の自家消費を推奨しています。ここからの時代は大企業だけでなく中小企業にも、そのような流れが来ると言われています。

再生可能エネルギーに対応した補助金・税制

企業や自治体における再生可能エネルギーの導入を促進するため、さまざまな補助金や税制優遇措置も行われています。たとえば、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」では、太陽光や風力、バイオマスといった発電設備を導入した事業者に対して、固定資産税を軽減。

さらに、「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除」では、省エネ住宅への改修・リフォーム工事を行った場合に、工事費の10%にあたる額を所得税額から控除する措置も行っています。

今後本格化が予想されるクリーンエネルギーの活用

クリーンエネルギーは従来の発電方法とは異なる革新的なエネルギーとして注目されています。太陽光発電のように以前から存在していた発電方法も多いですが、技術革新によってクリーンエネルギーの発電効率も高まり本格的な運用が期待されるようになりました。

国や自治体、企業においてもクリーンエネルギーの活用は今後さらに拡大していくと予想されるため、環境配慮型の経営を実現するためにも導入に向けて前向きに検討してみてはいかがでしょうか。