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法人の太陽光発電はどう節税する?節税方法を詳しく解説します!

更新日:2021.09.30

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税金
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再生可能エネルギーが注目されるなかで、太陽光発電設備を導入する企業も増えています。広大な土地や建物を所有している企業の場合、社屋や土地の一部を活用して自前で電力を賄ったり、売電収入を得たりできる太陽光発電システムは魅力的な存在といえるでしょう。

しかし、太陽光発電設備の導入にあたって注意しなければならないのが税金です。今回の記事では、太陽光発電を導入した法人はどのような税金を支払わなければならないのか、節税につながる方法はないのかも含めて詳しく解説します。

太陽光発電設備を導入した法人が支払う税金

まず、太陽光発電の導入にあたって押さえておきたい基礎知識として、法人が支払うべき税金はどのようなものがあるのか解説します。太陽光発電の導入形態や目的によっても支払うべき税金は異なるため、そちらも合わせて紹介しましょう。

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固定資産税について

固定資産税とは、法人であれば社屋や工場、倉庫など、償却資産に対して課税される税金です。通常、10kW未満かつ一般住宅へ導入する太陽光発電設備は固定資産税の対象とはなりませんが、法人の場合は10kW未満であっても産業用太陽光発電に分類され償却資産とみなされるため、固定資産税の支払い義務が生じます。

また、自社で使用することを前提とした「自家消費型太陽光発電」と、全量売電によって利益を得ることを目的とした「投資型太陽光発電」がありますが、法人の場合はいずれの目的においても固定資産税の支払い義務があります。

法人税について

法人税とは、個人における所得税と同じようなものです。1年間の所得に対して一定割合で課税される税金のことで、売上から必要経費を差し引いた金額が所得となります。

たとえば、余剰売電または全量売電によって利益を得た場合、必要経費を差し引いた利益に対して法人税が課税されます。

一方で、一切の売電を行わず発電したエネルギーをすべて自社で消費している場合には、売電による売上は発生しないため法人税の対象とはなりません。ちなみに、太陽光発電における必要経費とは、発電設備の減価償却費、管理・メンテナンス費、設備の修理費、パワーコンディショナなどの電気代などが挙げられます。仮に、売電収入よりも経費のほうがかかっていた場合、利益はないため法人税の納付義務はありません。

法人における太陽光発電の節税対策の一例

太陽光発電設備を導入した場合、法人に対しては主に固定資産税と法人税が課税されることが分かりましたが、企業として少しでも利益を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。

太陽光発電の導入にあたって効果的な節税対策の一例を紹介します。

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経費として計上できるものを把握しておく!

ひとつ目の節税対策としては、経費として計上できるものを正しく理解しておくことです。これは太陽光発電設備に限ったことではありませんが、経費として計上すべきものを把握することは節税対策の基本といえるでしょう。太陽光発電設備の場合、具体的には以下の項目が必要経費の代表的な例として挙げられます。

 

  • 設備や機器の修理費用
  • メンテナンス費用
  • 草刈り・除草などにかかった費用
  • 水道光熱費
  • 現地までの交通費

 

設備や機器の修理は専門業者へ依頼するケースが多いと思いますが、管理やメンテナンスを委託する場合も多いでしょう。当然、その際の委託費用も経費として計上が可能です。

また、フェンスや柵周辺の草刈りや清掃など、簡単なメンテナンスは自社の担当者で行うこともあると思いますが、現地への交通費や水道・光熱費、必要な機材などの費用も経費として計上できます。

自家消費型太陽光発電を選択する

2つめの方法が、自家消費型太陽光発電を導入することです。売電収入を得ることを目的とした投資型太陽光発電の場合、利益に応じて法人税が課税されます。多額の経費がかかり利益がなかった場合は法人税の課税対象とはなりませんが、そもそも事業として運営する以上は利益が出なければ本末転倒です。

しかし、売電収入を得ることを目的としない自家消費型太陽光発電であれば、法人税の対象とはなりません。同時に、自社で使用する電力を自前で賄うことができ、事業にかかる経費の削減と太陽光発電の法人税の節税とを両立できるメリットがあります。なお、太陽光発電設備の導入にかかった費用は自家消費型、投資型ともに経費として計上できますが、法定耐用年数は17年のため減価償却資産として分割で計上することになります。

中小企業経営強化税制の適用

中小企業経営強化税制とは、中小企業者等に対して経営体制を強化してもらうことを目的とし、税制優遇を受けられる制度のことです。対象となる「中小企業者等」の条件や税制優遇措置の内容は以下の通りです。

 

【対象となる企業・団体】

①資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人

②資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

③常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

④協同組合等

 

【期間】

平成29年4月1日〜令和5年3月31日

 

【税制優遇措置の内容】

資本金3,000万円以下の法人:法人税について、即時償却または取得価額の10%の税額控除が選択適用できる

資本金3,000万円超1億円以下の法人:法人税について、即時償却または取得価額の7%の税額控除が選択適用できる

 

【税額控除額】

当該事業年度の「中小企業経営強化税制」および「中小企業投資促進税制」の控除税額の合計で法人税額の20%が上限  ※税額控除の限度額を超えた金額は、翌事業年度への繰り越しが可能

なお、中小企業経営強化税制の適用については、対象設備の要件や手続き方法など細かな内容を確認しておく必要があります。

中小企業庁では「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」という資料を公開しているため、こちらも参考にしながら手続きを進めましょう。

太陽光発電に関する税制を理解し、正しく節税しよう

太陽光発電設備の導入にあたっては、法人の場合さまざまな税金が課税されます。

しかし、太陽光発電の目的や導入形態によっても税制のルールや基準は異なり、正しい知識を身につけることで節税対策も可能であることが分かります。

自社にとってどのような運用方法を選択すればメリットがあるのか、今回紹介した内容も参考にしながら太陽光発電設備の導入に向けて検討してみてください。