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企業や工場・倉庫などにおける自家消費型太陽光発電のメリットと事例

更新日:2021.07.19

SDGs・脱炭素

SDGs・脱炭素

CO2削減やSDGsへの取り組みなどが求められる中、太陽光パネルを活用した自然エネルギーによる発電システムが注目されています。

しかし、太陽光パネルの設置と聞くと導入へのハードルが高く、躊躇してしまう方も少なくありません。

また、本当に効果が高いのか不安に感じる方も多いことでしょう。

そこでおすすめしたいのが、自家消費型太陽光発電の導入です。

初めて耳にした方も多いと思いますが、自家消費型太陽光発電にはさまざまなメリットがあり、企業や工場におけるエネルギー確保の手段として期待できます。

今回の記事では、自家消費型太陽光発電のメリットや導入事例なども含めて詳しく解説します。

自家消費型太陽光発電とは

自家消費型太陽光発電とは、自宅または企業の敷地内に設置した太陽光パネルで発電し、電力をオーナー自らが消費することを目的としたものです。

太陽光発電は自家消費型以外にも、電力会社へ電力を売る(売電)ことで収益を得られる投資型太陽光発電もあります。

しかし、電力の固定買取価格が下落するなど、さまざまな要因によって収益を確保しづらくなっている現状があり、近年では自家消費型として運用するオーナーが増えています。

自家消費型太陽光発電には、太陽光パネルを設置する場所が必要なほか、高額な導入費用もかかりますが、長期的に見れば従来のような電力会社からの供給に頼ることなく大幅な節電にもつながります。

これにより、月々のランニングコストとしての電気料金を大幅に削減できるのです。

自家消費型太陽光発電の4つのメリット

自家消費型太陽光発電を運用するにあたっては、大きく分けて4つのメリットが挙げられます。

それぞれの内容について詳しく解説しましょう。

電気料金の節約

1つ目のメリットとしては、冒頭でも紹介したように電気料金の節約につながることが挙げられます。

自家消費型太陽光発電であれば電力会社からの電気を利用する必要がなくなり、自前でエネルギーを確保できるため、電気料金を大幅に節約できます。

また、自家消費型太陽光発電は電気料金値上げの影響も受けにくいメリットがあります。

日本の電力会社は現在、7割以上を火力発電に頼っています。

原子力発電の比率は2016年以降、徐々に高まってきていますが、それでも2020年度時点でわずか4.3%に過ぎません。

石炭や石油、天然ガスといったエネルギーを活用した火力発電に頼っている以上、発電コストは燃料の調達価格に左右されやすいのです。

しかし、自家消費型太陽光発電であれば、万が一火力発電に用いられる燃料が高騰し電気料金の値上げという形で反映されたとしても、その影響を最小限に抑えることができます。

出典:https://www.isep.or.jp/archives/library/13188

企業イメージの向上

2つ目のメリットとしては、自家消費型太陽光発電を一般企業が導入した場合に、企業イメージの向上にもつながることが考えられます。

たとえば、大型商業施設や工場、オフィスなど、施設の規模が大きくなればなるほど使用する電力も莫大です。

従来のように電力会社からの供給を前提に考えた場合、電力使用量の多い企業ほど環境へ大きな負荷をかけていると捉えることもできます。

しかし、施設の全てまたは一部に供給する電力を、電力会社からの供給ではなく自家消費型太陽光発電で賄っている場合、環境への負荷軽減に貢献している企業と認識されるでしょう。

特に現在、日本のみならず世界の企業においてはSDGsへの取り組みが注目されており、持続可能な事業が求められています。

SDGsの中でも環境問題への配慮は極めて重要な課題であり、企業イメージの向上にも直結するポイントといえます。

設備投資に対する補助金や税制の優遇措置

3つ目のメリットは、企業が自家消費型太陽光発電のシステムを導入した場合、いくつかの補助金制度の対象となり、実質的な導入コストを削減することができます。

代表的な補助金制度としては、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組促進事業
  • PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
  • 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
  • 廃熱・未利用熱・営農地等の効率的活用による脱炭素化推進事業のうち、営農型等再生可能エネルギー発電自家利用モデル構築事業
  • 再エネの最大限の導入の計画づくり及び地域人材の育成を通じた持続可能でレジリエントな地域社会実現支援事業
  • 建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業

 

上記は全ての事業者が補助金支給の対象とはならず、事業ごとに対象事業者や要件、補助率なども異なります。

また、公募期間も限られているため、自社にとってどの補助金事業が該当するのかを確認したうえで、締切までに手続きを済ませられるよう準備しておきましょう。

また、自家消費型太陽光発電をはじめとして設備投資を行った企業に対しては、「中小企業経営強化税制」という優遇税制が適用されます。

これは、その名の通り中小企業を対象とした税制措置であり、10%にあたる税額控除が受けられるようになっています。

BCP対策

4つ目のメリットは、企業が自家消費型太陽光発電を導入することにより、非常用電源が確保され緊急時においても事業を継続できることが挙げられます。

東日本大震災以降、多くの企業でBCP対策が注目され、実際にBCPへ積極的に取り組む企業が増えました。

万が一、災害によって発電所が甚大な被害を受けた場合、停電からの復旧には数日またはそれ以上の期間を要することも考えられます。

その間、電力が確保できないからといって生産活動が完全に停止してしまうと、最悪の場合事業が運営できず廃業に追い込まれる企業も出てくるでしょう。

そのようなリスクを極力抑えるためにも、自家消費型太陽光発電によるBCP対策は企業にとって極めて重要な取り組みといえます。

PPAモデルと自己託送

自家消費型太陽光発電を導入する場合、大きく分けて「PPAモデル」とよばれる方法と「自己託送」とよばれる方法の2パターンが存在します。

両者の基本的な概要や、どのような違いがあるのかも含めて詳しく解説しましょう。

PPAモデルとは

PPAモデルとは「第三者所有(TPO)モデル」ともよばれ、自宅または自社の土地・施設を電力会社などの第三者に提供し、管理・運用を任せる方法です。

提供するのはあくまでも太陽光パネルを設置する土地や施設のみであり、設置費用などのコストは電力会社などの第三者が負担します。

発電した電力はあくまでも買い取る形になりますが、高額な導入費用を支払う必要がなく、最小限のコストで自前のエネルギーを確保でき、BCP対策にもつながるということで大いに注目されています。

自己託送とは

自己託送とは、遠隔地から太陽光パネルで発電した電力を送電する仕組みのことです。

PPAモデルでは、あくまでも太陽光パネルを設置した土地または施設内で利用することを前提としており、電気を使用する場所と太陽光パネルを設置する場所が物理的に近い位置にある必要があります。

しかし、必ずしもそのようなケースばかりとは限らず、たとえば「本社は東京都心にあるものの、太陽光パネルは千葉県に設置したい」という場合もあるでしょう。

そこで、千葉県で発電した電力を、電力会社が有する送電網を使って東京本社まで届けるのが自己託送とよばれる方法です。

ただし、自己託送は全ての事業者が対応できるとは限らず、大規模な太陽光発電設備がある場合に限られます。

発電規模が小さいと、遠隔地まで送電することができないためです。

ちなみに、自己託送を契約する際には30分ごとの送電量が決められるのですが、万が一この送電量に満たない場合には「インバランス料金」とよばれるペナルティを支払わなければならないため、注意が必要です。

自家消費型太陽光発電の導入事例

自家消費型太陽光発電にはさまざまなメリットがあることを紹介しましたが、導入にあたっては何を目的とするのか、または重視する内容によってもシステム構築の手法は異なります。

そこで今回は、「電気料金の節約」「企業イメージの向上」、そして「BCP対策」を目的に自家消費型太陽光発電を導入した企業の事例をそれぞれ紹介します。

電気料金の節約

ボウリング場やゲームセンターなどのアミューズメント施設を運営している企業では、光熱費削減を目的として施設の屋上に太陽光パネルを設置しました。

屋根への断熱加工、および省エネ効果の高い空調設備も併せて導入した結果、従来の光熱費に比べて6割以上ものコスト削減につながったとのことです。

このように、電気料金の節約を目的として自家消費型太陽光発電を導入する企業は、太陽光パネル以外にもさまざまな対策を複合的に併用しながら、効果を最大化する取り組みが多く見られます。

https://sanix.jp/sustainable/catalog/8/

企業イメージの向上

自動車製造メーカー大手のSUBARUグループでは、自社工場内に国内最大級となる自家消費型太陽光発電設備を導入しました。

自動車産業は日本における基幹産業である一方で、製造工程において大量のCO2を排出するため環境への配慮が企業イメージを大きく左右します。

そこで、SUBARUグループは「CO2削減活動を全ての企業活動で取り組む」という環境方針を打ち出し、その一環として太陽光発電の導入を決定しました。

2030年度までにCO2排出量を従来の30%削減することを目標としており、SDGsが掲げる持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいます。

https://www.subaru.co.jp/press/news/2018_11_27_6557/

BCP対策

新京成電鉄では、災害などの緊急時において、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた非常用電源を確保し運用しています。

これは電車そのものを動かすための電力としてではなく、対策本部などの最低限の本社機能を維持するために導入されたものです。

ちなみに、通常時は太陽光パネルから本社ならびに蓄電池への電力供給も行っており、BCP対策だけではなくCO2削減や電力コストの削減にも貢献しています。

BCP対策で重要なのは、非常用電源を切らすことなく一定期間にわたってエネルギーを供給し続けることです。太陽光パネルのみだと夜間の電力確保は難しいため、蓄電池も併用することで課題を解決しています。

https://www.shinkeisei.co.jp/topics/2015/3023/

自家消費型太陽光発電の導入を検討してみよう

太陽光発電と聞くとコストが高く、メンテナンスも大変と考えられがちですが、今回紹介してきたように「PPAモデル」のような手軽な導入方法もあります。

また、導入事例を見ても分かるように、実際にコストの節約につながっている企業も数多く、企業イメージの向上にもつながります。

SDGsへの取り組みは多くの企業に求められる共通の経営課題でもあり、それを実現するためのひとつの方法が自家消費型太陽光発電ともいえます。

税制優遇措置や補助金を活用すれば導入コストも抑えられるため、BCP対策の一環としてもぜひ自家消費型太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。