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自家消費型太陽光発電の蓄電池の必要性について

更新日:2021.07.31

SDGs・脱炭素

SDGs・脱炭素

地震や台風、大雨といった自然災害が毎年のように発生している日本において、自然エネルギーを活用した発電が注目されています。

中でも太陽光発電は代表的な存在であり、民間企業はもちろん一般家庭においても太陽光発電を導入するケースが増えてきました。

太陽光発電は単にソーラーパネルを敷設しただけで終わりではなく、より効率的な電力の利用を目指すために蓄電池を併用するのが一般的な太陽光発電です。
種類も自家消費型から全量買取型などたくさんあります。

しかし、自家消費型太陽光発電を導入する場合であっても蓄電池は必要なのでしょうか。今回の記事では、自家消費型太陽光発電における蓄電池の必要性について詳しく解説します。

自家消費型太陽光発電とは

自家消費型太陽光発電における蓄電池の必要性を話す前に自家消費型太陽光発電について説明を致します。そもそも自家消費型太陽光発電とは、その名の通り、自ら発電した電力を自社または自宅で使用することを前提とした方式です。

一方で、自ら電力を使用することを目的とせず、電力会社に対して電力を売る(売電)ことを前提とした発電方式を全量買取型太陽光発電とよびます。

しかし、自家消費型太陽光発電も厳密に分けると、「全量自家消費」「余剰売電」という種類に細分化できます。全量自家消費とは発電した電力をすべて自社または自宅で使用し、電力会社に電力を販売することはありません。

一方で、余剰売電とは、自ら発電した電力は優先的に自社または自宅で使用するものの、余った電力は電力会社に対して販売するという方式です。ちなみに、自家消費型太陽光発電においては、余剰売電で運用しているケースが一般的です。

以上の内容について、太陽光発電の基礎的な知識として覚えておきましょう。



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自家消費型太陽光発電で使う蓄電池とは

太陽光蓄電池

太陽光発電システムを導入するにあたって押さえておきたいのが、蓄電池に関する知識です。そもそも蓄電池とは、発電した電力を一時的に蓄えておくことのできる機器のことを指します。

身近な例としては、スマートフォンやタブレット端末に接続して使用するモバイルバッテリーも蓄電池の一種であり、リチウムイオンバッテリーともよばれます。また、自動車やバイクなどに用いられるバッテリーも蓄電池の一種ですが、これには鉛が使用されています。

このように、一口に蓄電池といってもさまざまな用途に合わせたものが存在し、バッテリーの中身に使用されている素材も異なるのです。ちなみに、太陽光発電で用いられる蓄電池には、モバイルバッテリーと同様のリチウムイオンバッテリーが採用されています。

リチウムイオンバッテリーは数千回から1万回以上繰り返し使用できるのが特徴で、さまざまなメーカーが開発を手掛けており年々バッテリーの性能と品質が向上しています。


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自家消費型太陽光発電は蓄電池の併用がおすすめ

自家消費型太陽光発電

では、自家消費型太陽光発電を導入する場合、蓄電池との併用は必須なのでしょうか。コスト面の問題から、できるだけ予算を抑えて太陽光発電システムを導入したいと考えている方も多いことでしょう。

結論からいえば、自家消費型太陽光発電は蓄電池と併用しなくても導入することは可能です。ただし、蓄電池がないということは電力を蓄えておくことができないため、太陽が出ている日中しか発電した電力を使用できません。

そのため、夜間に使用する電力は従来通り電力会社からの供給を受けなければならず、自家消費型太陽光発電のメリットを活かし切ることはできないといえるでしょう。

また、梅雨時など天候の不安定な時期には、日中であっても太陽が隠れたタイミングで発電が止まってしまい、そのたびに従来の電力供給に切り替えなければなりません。このように、自家消費型太陽光発電システムの導入にあたっては、必ずしも蓄電池との併用が義務付けられているわけではありませんが、実用面から考えると蓄電池と併用することが現実的といえるでしょう。

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蓄電池の併用

自家消費型太陽光発電システムと蓄電池を併用することは実用的な面から見ても最適な構成といえることが分かりましたが、デメリットとして考えられることはないのでしょうか。メリットも合わせて詳しく解説しましょう。

太陽光蓄電池

蓄電池のメリット

まずは蓄電池を併用するメリットを3つのポイントに分けて解説します。

節電効果

太陽光発電のみで蓄電池を併用しない場合、時間帯や天候によって発電量が大きく変動します。

これは見方を変えれば、発電したタイミングで電力需要がない場合、その分の電力が無駄になってしまうことも意味します。しかし、蓄電池を併用していれば、電力を使用しない時間帯であっても発電した電力を蓄えておくことができるため、電力需要に左右されることなく発電した電力が無駄になることはありません。

その結果、自社または自宅で使用する電力の大半を太陽光発電で賄うことができ、結果として電力会社から電力供給を受ける量が減り、節電につながるのです。

災害時の非常電源

太陽光発電に比べて電力会社から供給される電力は安定的で、1年の間でも滅多に停電が発生することはありません。しかし、自然災害が多い日本において、地震によって発電所が甚大な被害を受けたり、台風や大雨などによる土砂災害で送電網が分断されたりした場合、広範囲で停電が発生し復旧にも時間を要してしまいます。

このような場合において、災害時でも安定的に電力を確保できる太陽光発電は心強い味方になってくれます。蓄電池も併用していれば、日中だけではなく夜間や悪天候時においてもエネルギーが確保できるため、日常生活に支障をきたす可能性が低くなるでしょう。


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電力買取制度が終了した後も活用

「自家消費型太陽光発電であっても、余剰売電を選択した場合には電力会社へ余った電力を売ることができるため、無駄にならないのでは?」と考える方もいると思います。しかし、実は電力買取制度は永久的に実施されるものではなく、固定価格の買取期間は10年間と定められています。

電力の買取契約そのものは継続することも可能ですが、買取単価は変動するため売上も不安定になりがちです。そのため、蓄電池を併用することにより、発電した電力を無駄にすることなく自社または自宅での消費に役立てることが可能なのです。

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蓄電池のデメリット

次に、蓄電池を併用するデメリットを2つのポイントに分けて解説します。

導入コスト

リチウムイオンバッテリーの蓄電池は、容量によっても価格は異なるものの、数百万円単位のコストがかかる場合もあります。

5年、10年という単位で考えるとトータルのコストとしては十分安くなりますが、高額な導入コストゆえに躊躇してしまうケースも考えられます。

ただし、リチウムイオンバッテリーそのものの社会的ニーズは高まっていることもあり、年々コストは下がっていることも事実です。将来的に導入コストは下がる可能性も十分あるといえるでしょう。

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買い替え

リチウムイオンバッテリーは繰り返し使用できますが、スマートフォンやモバイルバッテリーのように経年劣化によって寿命を迎えることもあります。

製品によっても買い替えサイクルは異なりますが、太陽光発電と併用する蓄電池の場合、長くても10年から15年程度で買い換えのタイミングがやってきます。

そのため、導入したからといって永久的に使用できるものではなく、定期的に高額な買い替えコストがかかってしまいます。

自家消費型太陽光発電は蓄電池と併用

自家消費型太陽光発電は蓄電池との併用を検討

今回紹介してきたように、自家消費型太陽光発電は蓄電池と併用することにより高い効果が期待できます。

導入コストの問題や買い替えサイクルの早さなどの問題はありますが、今後太陽光発電を導入する企業や一般家庭が増えてくれば、今よりも蓄電池のコストは下がっていくと考えられます。

太陽光発電の導入効果を最大化するためにも、ぜひ蓄電池と組み合わせたシステムを設計し構築してみましょう。